アカデミー作品賞「パラサイト 半地下の家族」感想
「パラサイト 半地下の家族」
アカデミー作品賞なんて凄い。アジア映画が選ばれる事があるなんて以前なら想像も出来なかった。
最近の韓国映画やドラマを観て、昔と比べてかなり進化したように感じる。
15年以上前の冬ソナブームの時に私も韓国映画を何本か観た事があるが、すぐに飽きてしまった。
そんな古い印象だったが、最近の韓国作品のスケールの大きさや脚本の完成度の高さに驚く。
残念ながら日本の映画やドラマは完全に負けているように思う。
『パラサイト 半地下の家族』の内容

制作国:韓国
公開:2019年
キャスト:
キム・デオク役(ソン・ガンホ)
パク・ドンイク役(イ・ソンギュン)
パク・ヨンギョ役(チョ・ヨジュン)
キム・ギウ役(チェ・ウシク)
<あらすじ>
キム一家は家族全員が失業中で、その日暮らしの貧しい生活を送っていた。そんなある日、長男ギウがIT企業のCEOであるパク氏の豪邸へ家庭教師の面接を受けに行くことに。そして妹ギジョンも、兄に続いて豪邸に足を踏み入れる。正反対の2つの家族の出会いは、想像を超える悲喜劇へと猛スピードで加速していく……。(引用元:映画com)
『パラサイト 半地下の家族』の感想
※ネタバレは極力避けていますが、今から観る予定の方はスルー推奨。全く予備知識無しで観る方が面白いです。
この「パラサイト」を観始めた時、期待していた程のスケールの大きさも奥深さもない、ただのコメディ映画なのかと思った。確かに入り込みやすく、万人受けしそうな前半。笑えて面白い。
だけど「あれ?ただこれだけの映画なの?」と少し残念な気もしていた。
前半のコメディ部分だけなら、日本でも他の国でも、ありえそうな脚本だと思った。
だけど後半。
想像もしていない方向にストーリーが展開していく。
前半のあのコメディな雰囲気はどこへ?
富裕層と貧困層の格差を視覚やセリフからじわじわと感じさせる。
後半はスリラー、ミステリー、という雰囲気が強くなり、それと共に地下で暮らす人々の思いが痛い程伝わってくる。
前半は貧乏な事を受け入れ、それを笑いにしながら家族でヘラヘラと生きているように見えたキム一家だが、金持ちの時折見せる貧困層を馬鹿にしたような言葉に少しずつ父親キムの心が壊れていく。
この前半と後半のガラッと雰囲気が変わっていくところがいい。
前半の陽気さが、余計に後半のシーンの悲しさや虚しさを強調させている。
私はどこか、映画「万引き家族」に似ているものを感じた。
貧困家庭の悲しさや家族の愛情の部分が似ている。
ただこの「パラサイト」はそれだけに終わらず、ユーモアやミステリー部分など、脚本が単純でないところが凄くよく出来ている。
決して観終わった後に気分が良くなる映画とは言えないが、まるで舞台を観終わった時のような、世界観がある映画だと思う。