骨壺の蓋を開ける日

私は愛犬の遺骨を自宅に置いている。
リビングの真ん中。
私達が見える場所に。
いつも一緒にいられるように。
何も考えず
いつまでも永遠に一緒にいるのが当然だと思っていたが
後に色々調べたところ、
骨壺の中の骨はカビやすいという事を知った。
夫が帰宅後、私に言った。「遺骨ってカビが生えるらしいよ」えぇ⁉どういう事?
それ以来、月に2回、骨壺を開けて
除湿剤を入れ替えるのが私達夫婦の決まりになっている。
開けるのは晴れた日。
なので先日からずっと雨続きだった時は
なかなか開けられず、ずっと気になっていた。
そしてようやく晴れた日、久しぶりに骨壺を開けた。
毎回開ける度、
「一緒にいるよ」という気持ちでいっぱいになる。
いつまで続けられるか分からない。
一生なんて無理だし、
老後私達の体がもっと衰えればそれどころでなくなるだろう。
だけど今はこうする事で
少しでも愛犬が近くにいるような気持ちになれる。
私にとって骨壺の蓋は、
虹の橋への入り口のようなものだと思う。