残りの人生が足りないようで長い

いつも散歩で会っていた犬が亡くなった。
最近見ないな…と思っていたのだが
散歩中に会う別の人にその事を聞いた。
とても悲しい。
犬同士の仲も良く、その飼い主の方とも話し易かったので
どれ程悲しんでいるだろうと思うと胸が痛んだ。
そして久しぶりにその飼い主の方と会った。
私が犬を連れて歩いていると
背後から声をかけてくれたのだ。
咄嗟に私が何と言ってよいのか迷っていると、
その方は私の愛犬を見るなり泣き始めた。
「ごめんなさい、思い出してしまって」
うんうん、分かります…
私も一緒に泣いた。
そして少し会話をしていると、
その方が「寂しくて毎日辛い」と言い
私が「またいつか犬を迎えないのですか?」と聞くと
「それは無い」と言った。
自分の年齢を考えると、次は無いと。
私より少し年上の年齢。
その気持ちがとてもよく分かる。
今から新たにペットを迎えるとなると
自分の残りの人生が足りないかもしれない。
だけどこの先ずっとペット無しの生活だと考えると
残りの人生が長く感じる。
他人事ではない…私もいつかこんな思いをするだろう。
その方は名残惜しそうに私の愛犬を撫でていた。
その姿を見ていてまた私は涙が出そうになった。