私だけは理解者でありたい

未だに体調が不調続きな私だが
子犬の散歩だけは出来るだけ毎日行くようにしている。
昨日もこの寒さと暴風の中、
近所の散歩に出かけた。
すると久しぶりに顔見知りの犬連れの人に会った。
子犬を見て、「あれ?」というような顔をされたので
私は愛犬がいなくなった事と、新しく迎えた子犬を紹介した。
だが子犬は今でも臆病で人嫌い、犬嫌い。
なので愛想よく尻尾を振るなんて有り得ず、
私の後ろに隠れながら「ウゥ~ッ!」と唸り声を出した。
するとその知人は、
「あらそう、寂しくなったわねぇ」と私の愛犬の事を話し始めた。
「あんなに愛想が良くて可愛くて、本当に良い子だったわ」
「また会いたいわ」と言って涙まで浮かべて。
そんな風に言ってもらえて私も嬉しい。
愛犬が誰からも愛されていた事を感じる。
だがこの時、私は私の後ろに隠れている子犬が可哀想になった。
「この子も良い子なんです。可愛い子なんです」
全く子犬に興味を示さないその人にそう言いたくなった。
子犬は世渡り下手でまるで私自身を見ているよう。
隠れたり唸ったりしてしまうので、出会う相手も情が湧かない様子。
そんな様子を見ていると、
ますます私は子犬が気にかかり、人一倍の愛情を注ぎたくなってくる。
誰からも理解されなくても
私だけは子犬の理解者でありたい。