カエルのシャッターチャンス

先日、久しぶりにカメラを持って散歩に行った。
犬と一緒ではなく一人で行く散歩は滅多に無い。
一人での散歩は寂しさを感じるが
ゆっくり写真が撮れる。
しかしこの日は日曜日だったからか
公園には人が溢れ、カメラで撮影している人も多かった。
人が多過ぎて圧倒され、
私は花壇の端の方でしゃがんでこっそり写真を撮っていた。
すると高齢の男性に声をかけられた。
「あそこに可愛いカエルがいますよ」
「え?あ、あぁ…そうですか」
そう答えたものの、花なら分かるがカエルとは…
私は適当に笑顔を返し、そのまま目の前にあった花の写真撮影を続けた。
すると一度はその男性が立ち去ったのだが
しばらくするとまた戻ってきた。
「早く撮らないとカエルがどこかに行ってしまいますよ。
今、花の前に座っていてシャッターチャンスなんです」
…何で私?
他にもたくさん人がいるのになぜ私にわざわざ言いに来るの?
家族連れが多く、私が一人で撮影しているので声を掛けやすいのだろうか。
そしてその男性に「早く、早く」と手招きされ
私は仕方なくその男性の言う場所まで行き、カエルの写真を撮った。
「良かったですね。まだいてくれて」
そう言って男性は去って行った。
ちなみに私はカエルが苦手。
あまりに苦手過ぎて、撮影した写真を削除しようにも
見るのが怖くてフォルダを開けずにいる。