癒しのへの字口

ある日、夫と愛犬と一緒に散歩に行った。
久々に私と夫、二人が揃っているので
愛犬は嬉しそうに尻尾をピンと立てて
ズンズンと前を歩いていた。
私と夫はその尻尾を眺めながら
後ろからついて歩いていた。
そして何がきっかけだったのか忘れてしまったが
話しているうちに私と夫で喧嘩が始まった。
暖かい日差しの下。
誰もいない公園で。
私と夫の言い争う声だけが響いていたかもしれない。
私と夫は喧嘩に夢中だったのだが
ふと目の前を見ると
愛犬が黙ってお座りをしてこちらを見ていた。
その表情が可笑しくて。
本当に口をへの字にして怒っていたのだ。
私と夫は思わず笑った。
二人で愛犬を撫でると、
愛犬は納得したかのようにまた尻尾を上げて歩き始めた。
小さな頭で色んな事を感じている。
そのおかげで私と夫の心も癒されている。