誰もいない密かな広場に初めて先客がいた

ようやく愛犬の散歩に良い気候になってきた。
昨日も夕暮れ時に愛犬を連れて公園まで散歩。
この公園には隠れた広場がある。
奥まった場所に木に囲まれた広場があるのだが
人がほとんど来ない。
それで愛犬とボール投げをして遊ぶのに丁度良い。
愛犬はボール投げが大好き。
ボールを投げるとまるで馬のような音を立てながら
猛スピードでボールを取りに行き、こちらに戻ってくると
私の足元にピタッとくっつく。
まるで掃除機のルンバのような正確性。
この遊びが大好きなので、昨日もその広場に行ったのだが
先客がいた。
広場にはベンチが置いてある。
そこに女性が一人座り本を読んでいた。
この広場で人を見たのは初めてだ。
きっとこの女性も人がいない場所を選んで来たのだろう。
邪魔になるかと迷ったのだが
私と愛犬は少し離れてボール遊びを始めた。
幸い?愛犬は人に興味を示さないので、離れてさえいれば
その女性に近寄っていく事はない。
私と愛犬がボール遊びをしている間、
その女性はずっと本を読んでいた。
私達の事が気にならないようで、立ち去る気配もない。
そのうち薄暗くなり、
私が愛犬に「帰ろうか」と声をかけると、
愛犬は名残惜しそうにまだお座りをしてボールを投げてくれるのを待っていた。
そんな愛犬を抱き上げ振り返ると
あの女性も本を閉じ立ち上がるところだった。
私と愛犬、そしてその女性は黙って公園の出口まで歩いた。
何だかとても心地良い静かな時間だった。